PAUL McCARTNEY / THE PIANO TAPE 【1CD】

PAUL McCARTNEY / THE PIANO TAPE 【1CD】

販売価格: 3,300(税込)

在庫あり
数量:

商品詳細

ポールがポップ/ロックのフィールドで世界屈指のベーシストであるだけでなく、ギター、ドラム、キーボード全般と、あらゆる楽器を演奏出来てしまうマルチ・プレイヤーでもあること、そしてその全てで素晴らしい腕前を持っていることは正式発表された音源だけでも十分に堪能することが出来ます。しかし、コアなファンの間で人気が高いのがリラックスした状態でのアコースティック・ギターもしくはピアノの弾き語り。アコースティック・ギターの弾き語りの定番がmisterclaudelの『The World Tour Premiere』に収録されている” Backyard Tape”ならば、ピアノの弾き語りは間違いなく本作に収録されているデモ・レコーディングであると言えます。

 この音源は、73年秋に『Band On The Run』のレコーディングを終えた後、様々なプロジェクトをこなしながらウィングスの新しいメンバーの獲得と世界制覇への準備を怠らなかった74年夏までの間に録音されており、現時点では74年にロサンゼルスに所有していた自宅で録音されたというのが定説となっています。 それを裏付けるかのように、ところどころに小さく愛娘達の声も聞こえます。” Backyard Tape”は大半がロックンロール・スタンダードを演奏しているのに対し、こちらは現時点でも未発表の曲が含まれているだけでなく、超例外的な「Suicide」を除き、録音された時点では全ての楽曲が未発表だったという興味深い内容となっています。

 実際に内容を見ていくと、75年の『Venus & Mars』用のセッションで取り上げられた楽曲が5曲(「Lunch Box/Odd Sox」のみ、レコーディングは75年ながらリリースは80年)、それ以外にも「Suicide」を含めると90年代までに正式にリリースされた楽曲、その断片(アイデア)が10曲も含まれています。  『Venus & Mars』用のセッションで取り上げられた曲から見ていくと「Now That She Is Mine」は 「Letting Go」の初期ヴァージョン。ヴァースの歌詞は発表されたラインも登場しますが、コーラス部分の歌詞は”♪Now that she is mine”となっており、ここからポールの屈指のベース・プレイが炸裂するバンド・ヴァージョンに進化するかと思うと驚きます。 それ以外の「Lunch Box/Odd Sox」「Call Me Back Again」「Treat Her Gently/Lonely Old People」「You Gave Me The Answer」はこの時点で構成も歌詞もほぼ完成しています。

続いて、75年に以前、以降にレコーディングされて発表されている楽曲を見ていくと、「Million Miles」は「After The Ball」とのメドレーで78年にレコーディングされアルバム『Back To The Egg』に収録。「Mull Of Kintyre」は77年のスーパー・ヒット・シングル。デニー・レインの「俺が未完成の部分の詞を書いて、 パイプ・バンドを加えることを提案した」という証言を裏付けるものになっています。「I'll Give You A Ring」は未発表フィルム” One Hand Clapping”でも披露されていますが、発表は82年のシングル「Take It Away」。「Getting Closer」も『Back To The Egg』に収録された楽曲ですが、ヴァースとコーラス(サビ)は、 ほぼ完成していますが、ブリッジ部分が全く異なっており、通して聴くとかなり違った印象を受けます。「Rockestra Theme」も『Back To The Egg』に収録された一大プロジェクト” Rockestra”(ロック・オーケストラ)のテーマ。エンディングまで既に完成しています。

「Waiting For The Sun To Shine」は、87年にフィル・ラモーンのプロデュースで正式にレコーディングされた「Love Mix」という曲のコーラス(サビ)で、「Love Mix」も一度はお蔵入りしてしまい、97年の『Flaming Pie』から「Beautiful Night」がシングルカットされた際にCDヴァージョンのCD2に収録された「Oobu Joobu-Part6」の中で正式リリースされました。 是非多くのファンに聴いて頂きたい、一度聴くと口ずさみたくなる、印象的な陽気なメロディです。

「Blackpool」は、71年の『Wild Life』用のセッション以降、何度かポールが取り上げている曲ですが、オフィシャルDVD『The McCartney Years』のメニュー画面に映像とともに” Backyard Tape”のマテリアルが使用されています。 「Girlfriend」は、78年のアルバム『London Town』で発表され、マイケル・ジャクソンにもプレゼントされた曲。歌詞はヴァース部分のみながら、メロディのアイデア自体は全て出来上がっています。 「I Lost My Little Girl」はポールの処女作として知られる曲。Beatles時代にも69年1月の通称”GET BACK SESSION”で取り上げており、ソロになって以降も何度か取り上げていますが91年の”MTV Unplugged”での演奏を収録した『公式海賊盤』で正式リリースされました。 「Suicide」も”GET BACK SESSION”で取り上げられていますが、こちらは厳密には正式リリースされたとは言い難く、ソロ・デビュー作『McCartney』に収録されている「Hot As Sun〜Glasses」のラストに断片の断片(しかも歌詞ではない!!)が登場しているのみ。その後、ポールは近年に至るまで何度も取り上げています。

残る「Baby You Know It's True」「Women Kind」「In My Dreams」「She Got It Good」「Sunshine In Your Hair」「Upon A Hill」「Sea」「Love Is Your Road」「Sweet Little Bird」「Partners In Crime」「”Dr. Pepper”」の11曲が現時点でも未発表の曲。 「Sea」以外は、このテープ以外で演奏している形跡がありません。「Sea」だけは「Cornish Wafer」とのメドレー形式の形で、78年にポールが版権を持つ漫画「Rupert The Bear」のアニメ映画のサントラ用に録音されており、そのヴァージョンも聴くことが出来ます。

頭から順番に聴いていくと、曲間のところどころでテープを止める音が入っているものの約1時間ほどのピアノ演奏は音質が一定していることから、来たるべきレコーディングに備えてめぼしい未発表曲を一気に録音してみたというところでしょうか。「Girlfriend」辺りで、一応の目的を達成したと感じたのか、お遊びモードに入っているような印象を受け、完全な未発表曲が後半に固まっているのがそれを裏付けているようにも思いますが、全編を通してポール自身が楽しんで演奏しており、前半の聴きなれた楽曲の素朴な演奏が新鮮に響くのはもちろん、後半の完全な未発表曲のほとんどが、完成度の低いお遊び程度の曲とは言っても、ポールの創作風景を除いているような錯覚に陥る興味深い内容となっています。このように、ところどころにポールのほとばしる才能を感じることが出来る音源ですが、未発表曲をじっくりと楽しむというよりは、ポールのリラックスした演奏が音源全体から楽しめる、素朴な演奏ながら何度も聴き返してしまうこと請け合いの、全ポール・ファン必携と断言出来る素晴らしい1作です!!

01 Million Miles
02 Mull Of Kintyre 
03 I'll Give You A Ring 
04 You Know It's True 
05 Women Kind 
06 Getting Closer 
07 In My Dreams 
08 Rockestra Theme 
09 Letting Go 
10 Call Me Back Again 
11 Lunch Box/Odd Sox 
12 Treat Her Gently/Lonely Old People 
13 You Gave Me The Answer 
14 Waiting For The Sun To Shine 
15 She Got It Good 
16 Blackpool 
17 Sunshine In Your Hair 
18 Girlfriend 
19 I Lost My Little Girl 
20 Upon A Hill 
21 Sea 
22 Love Is Your Road, Love Is My Road 
23 Sweet Little Bird 
24 Partners In Crime 
25 Suicide 
26 Doctor Pepper